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2015/10/22

時の流れ・・・由布院

55年前中学生3年の夏、長兄に連れられ由布岳に昇った。
登山は初めての挑戦だった。生憎、台風の襲来に出会い雨風の中を昇ったが頂上付近であまりの風の強さに岩にへばりついたまま、昇ることも降りることもできない。恐怖でとうとう泣き出してしまった。
その時兄が私の足に手のひらを添えて一歩一歩降ろしてくれた。
あの時の恐怖と助かったという安堵感はいまでも忘れることができない。

その兄も昨年天寿を全うして逝ってしまった。
あの由布岳を見たいと思い由布院駅アートホールに応募して運よく合格し、10月のもっともよい季節に展覧会をさせていただくことになった。
ちょうどその前夜はスーパームーンが由布岳の全容を見事に照らし、翌朝は朝日が真っ赤に染めて、展覧会の祝福してくれた。
由布岳は頂上付近の圧倒的な存在感と裾野付近のなだらかな曲線が由布院盆地に雨と風をもたらし豊かな時の流れを創造しています。
高台から時が流れる景色を刻々と眺めることができるのが由布院の最大の特徴です。これほどの情緒感を表現する風景を他に知りません。
由布院は時の流れを眺めることができる場所なのです。

 「時」・・・由布院にて
陽は斜めに射し込んで
 風が隙間にすべりこむ
  水は潜って渦をまき
   花が色を巡らせて
    大地の深みにしみこむ
     一つにとけて空になる